来宮神社(熱海市)概要: 来宮神社は静岡県熱海市西山町に鎮座している神社です。来宮神社の創建は不詳ですが、伝承によると和銅3年(710)、漁師が熱海の海で漁をしていたところ3度木の根に引っかかり、神意と悟り引き上げると神像と思われる木像が現れました。
その夜、五十猛命が夢枕に立ち、波の音が聞こえない静かな場所に私を祀ってほしいと告げた為、現在地に社を構え神像を安置したと伝えられています。
海岸の漂着物を御神体に祀ったり、樹木や植物を祀ったりする信仰は、神奈川県の西部から伊豆半島の相模湾沿岸部に分布するキノミヤ信仰に類似する点が多く、平安時代初期、征夷大将軍である坂上田村麻呂が東夷東征の戦勝祈願を行い、見事念願成就をし、来宮神社の分霊を各地に勧請したことから当社が来宮神社の本社とも云われています。
又、延長5年(927)に編纂された延喜式神名帳に記載されている式内社「阿豆佐別神社」の論社で古くから格式が高かったと思われます。
来宮神社境内にある大楠(阿豆佐和気神社の大クス )は古くから御神木として信仰され当初は7株ありましたが嘉永年間(1848〜1853年)、漁業権を巡る争いが起こり、その費用を捻出する為大楠を売却し残りの2本を伐採しようとしたところ1人の老翁が現れ阻止したそうです。
大楠は推定樹齢2千年、樹高約20m、幹周約24m、昭和8年(1933)に国指定天然記念物に指定、平成4年(1992)に全国2位の巨樹に認定(環境省)、境内の社叢は「静岡の自然100選」に選定、特に幹を1周する毎に寿命が1年延びると信じられ、健康長寿・病気平癒に御利益があるとされます。
来宮神社拝殿は二重入母屋造り、銅板葺き、正面千鳥破風、桁行6間、正面3間軒唐破風向拝付き、本殿は流造、銅板葺き。祭神は大己貴命、五十猛命、日本武尊、特に縁結び、商売繁盛、宅地造成、温泉守護、酒断ちに御利益があるとして多くの信者が参拝に訪れています。
例祭(7月14・15・16日)で奉納される鹿島踊は来宮神社の由来となった木像を拾った子孫の家と境内、熱海駅前、渚小公園で踊られるもので、古式を伝える貴重な神事として静岡県指定無形民俗文化財に指定されています。
来宮神社の文化財
・ 阿豆佐和気神社の大クス(来宮神社の大クス)−国指定天然記念物
・ 来宮神社鹿島踊−静岡県指定無形民俗文化財
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