蓮生寺(藤枝市)概要: 熊谷山蓮生寺は静岡県藤枝市本町に境内を構えています。蓮生寺の創建は建久6年(1195)、蓮生房(熊谷直実:熊谷直貞の次男)が開山したのが始まりと伝えられています。
熊谷直実は平家追討で多くの武功を挙げ源頼朝から日本一の強者と賞賛された人物でしたが、文治3年(1187)の鎌倉鶴岡八幡宮の放生会で流鏑馬の的立の役で直実が拒否した事で減封となり、さらに領地争いで叔父に敗れた事で出家、後年法然上人の弟子となり蓮正と名を改めています。
貞永2年(1233)、親鸞上人(浄土真宗開祖)が京都に戻る際、蓮生寺に立ち寄り、当時の住職蓮因が感化され弟子になると「十字尊号黒谷秘伝抄」を賜り浄土真宗に改宗しました。さらに第9世生岸は蓮如上人から親鸞聖人の木像を拝領しています。
永禄12年(1569)、武田信玄による田中城侵攻の兵火により多くの堂宇、寺宝、記録が焼失し荒廃しましたが、徳川家康から庇護され三ヶ条制札と寺領が安堵されています。
寛永20年(1643)には田中城の城主水野家から築城で余った木材を寄進し桁行7間、梁間7間の本堂が再建、さらに寛文3年(1663)に梵鐘が鋳造しました。
享保15年(1730)、本多家が沼田藩から田中藩4万石で入封すると享保16年(1731)に初代藩主となった本多正矩が菩提寺と定め、以来歴代藩主(正矩・正珍・正供・正温・正意・正寛・正訥)から庇護され寺運も隆盛しました。
蓮生寺境内には歴代本多家の墓域があり、一族19基の墓碑が建立されています。
「蓮生寺のイブキ」は推定樹齢700年、明治36年(1903)の火災で一部焼失しましたがその後は回復、樹高6.8m、幹周1.55m、枝張東西7m、南北7m、昭和32年(1957)に藤枝市指定天然記念物に指定されています。
山門は文化8年(1811)に当時の田中藩5代藩主本多正意が造営したもので切妻、本瓦葺、正面軒唐破風、一間一戸、四脚門。宗派:真宗大谷派。本尊:阿弥陀如来。
|