長楽寺(下田市)概要: 大浦山長楽寺は静岡県下田市三丁目に境内を構えている高野山真言宗の寺院です。長楽寺の創建は不詳ですが、当初は薬師院長楽寺と号し、別所にあったとされ、室町時代末期の弘治3年(1557)、尊有が真言宗の寺院として改めて開山し現在地に境内を遷しています。明治時代初頭に発令された神仏分離令とその後に吹き荒れた廃仏毀釈運動により廃寺に追い込まれましたが、宝光院長命寺と合併する事で再興しています。境内は高台に位置する景勝地で長楽寺の梵鐘は、伊豆八景の一つに数えられ下田市民から親しまれた存在でしたが第二次世界大戦中に供出されました。
又、長楽寺は幕末の外交の舞台でもあり安政元年(1854)には権筒井政憲(旗本:目付、長崎奉行、南町奉行、大目付を歴任)・川路聖謨(旗本:佐渡奉行、普請奉行、公事方勘定奉行を歴任)とプチャーチン(ロシア使節海軍中将)との間で日露和親条約(日露通好条約)が締結され、安政2年(1855)には掛井戸対馬守等と米国使節アダムス中佐との間に日米和親条約批准書の交換が行われています。長楽寺は幕末の外交史上貴重な存在で昭和46年(1971)に下田市指定史跡に指定されています。
伊豆八十八ヶ所四十二番札所(札所本尊:薬師如来・御詠歌:くもりなき 瑠璃の光に 長楽寺 人の心の 月ぞすみける)。伊豆横道三十三ヶ所霊場二十三番札所(札所本尊:聖観世音菩薩・旧宝光院長命寺本尊)。伊豆国七福神:大就弁財天。山号:大浦山。宗派:高野山真言宗。本尊:薬師如来。
|