普門寺(掛川市大須賀町)概要: 千手山普門寺は静岡県掛川市西大渕に境内を構えている天台宗の寺院です。普門寺の創建は慶雲元年(704)、文武天皇の勅願により行基菩薩が開山したのが始まりと伝えられています。当初は千手の峰にあり法相宗の寺院でしたが14代住職の時に比叡山延暦寺(滋賀県大津市坂本)の末寺となり天台宗に改宗しています。治承元年(1177)、平重盛が高倉天皇の重病平癒を祈願して現在地に境内を移し伝教大師最澄が自ら刻んだと伝わる聖観世音菩薩像を安置しています。
永禄から元亀の兵乱の兵火により多くの堂宇、寺宝、記録などが焼失し衰退しますが天正3年(1575)豪憲師が再興し、横須賀城の城主大須賀康高が諸堂を再建しています。江戸時代に入ると幕府から庇護され寺領37石が安堵されています。古くから神仏習合し、境内には鎮守社だった八所神社が鎮座し、観音堂の前には鳥居が建立されていますが、明治時代初頭に発令された神仏分離令により寺院として確立しています。
普門寺弁天堂の創建は治承元年(1177)に平重盛が厳島神社(広島県廿日市市宮島町)から分霊を勧請したのが始まりと伝えられています。現在の普門寺弁天堂は嘉永元年(1848)、横須賀藩の第6代藩主西尾忠固の命で嘉永3年(1850)に造営されたもので、木造平屋建て、宝形造、桟瓦葺き、桁行2間、張間2間、正面1間向拝付き、外壁は真壁造板張り、棟梁は立川内匠藤原昌敬、向拝欄間の龍や木鼻の獅子や象、蟇股などに立川流の精緻な彫刻が施されています。
普門寺弁天堂は江戸時代末期に建てられ御堂建築の遺構で、彫刻などの意匠にも優れた貴重な建物である事から平成10年(1998)に掛川市指定文化財に指定されています。遠州三十三観音霊場第12番札所(札所本尊:聖観世音菩薩)。山号:千手山。宗派:天台宗。本尊:聖観世音菩薩。
|