伊那上神社(松崎町)概要: 伊那上神社は静岡県賀茂郡松崎町宮内に鎮座している神社です。 伊那上神社の創建は弘仁8年(817)、伊予国越智郡の三島大明神(大山祇神社)の分霊を勧請したとも、伊豆国府に鎮座していた三島大社の分霊を勧請したのが始まりとも伝えられています。延長5年(927)に編纂された延喜式神名帳で式内社と記載された、伊那上神社とも仲神社とも仲大歳神社とも云われ、康永2年(1343)に編纂された伊豆国神階帳(国内神名帳)には従四位上に列しています。
承安3年(1173)に源頼朝が参拝に訪れて以降、将軍家の崇敬社として庇護され社領500石の寄進や壮大な社殿の造営などが行われ、末社80余社を擁する西伊豆第1の大社となりました。天正年間(1573〜1592年)の火災により多くの社殿、社宝、記録などが焼失し、当時の宮司金差義長の尽力により40余社を再建しましたが慶長年間(1596〜1615年)の火災で再度焼失し一時衰退します。江戸時代に入ると社領20石の朱印状を賜わり再興しています。古くから神仏習合し「三島大明神」などと呼ばれてきましたが明治時代初頭に発令された神仏分離令を経て、明治6年(1873)に郷社に列し明治40年(1907)に神饌幣帛料供進社に指定されています。
伊那上神社境内に建立されている釣燈籠は慶長13年(1608)に大久保石見守長安が寄進したもので、江戸時代初期の釣燈籠の遺構として貴重な事から昭和31年(1956)に静岡県指定文化財(工芸品)に指定されています。伊那上神社の社宝である松喰双鶴鏡は鎌倉時代に制作されたもので、直径21.6cm、貴重な事から昭和31年(1956)に静岡県指定文化財(工芸品)に指定されています。伊那上神社社殿に祭られている男神坐像(4躯)と女神坐像(2躯)は鎌倉時代前期に制作されたもので、貴重な事から松崎町指定文化財(彫刻)に指定されています。
伊那上神社拝殿は木造平屋建て、入母屋、桟瓦葺き、平入、桁行4間、張間2間、外壁は真壁造白漆喰仕上げ、正面には「伊那上」の扁額が掲げられています。本殿は正徳2年(1712)に造営されたもので、一間社流造、木皮葺。祭神:積羽八重事代主神。
【 参考:文献等 】
・ 現地案内板(由緒)-伊那上神社
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