伊那下神社(松崎町)概要: 伊那下神社は静岡県賀茂郡松崎町松崎に鎮座している神社です。 伊那下神社の創建は不詳ですが当初は社殿が無く牛原山自体が御神体だったとされ、その後彦火火出見尊が勧請されたのが始まりと伝えられています。現在でも磐座の跡が残されており古代の祭祀場だった事が窺えます。その後新羅渡来人の猪名部が土着して氏神である住吉三柱大神(唐大明神)の分霊を勧請し、猪名部から地名を伊那(猪名→イナ→伊那)として伊那神社と称するようになったそうです。
未確定ながら延長5年(927)に編纂された延喜式神名帳に記載されている伊那下神社、仲大歳神社、伊志夫神社の論社として広く信仰され、源頼朝をはじめ、歴代領主や為政者から社領の寄進や社殿の造営などがあり社運が隆盛しました。建暦元年(1211) には当時の幕府執権の北条時政は伊豆国仁科荘松崎下宮の鰹船二艘の 課役を免除し、石火宮供採料に充てる安堵状を発布しています。
古くから神仏習合し「松崎下宮」や「下之宮唐ノ大明神」などと呼ばれてきましたが明治時代初頭に発令された神仏分離令を経て、明治6年(1873)に村社、昭和5年(1930)に郷社に列し昭和10年(1935)に神饌幣帛料供進社に指定されています。
伊那下神社の社宝である松藤双鶴鏡は源頼朝が寄進したと伝えるもので銅製、直径20.1cm、松・藤・双鶴が巧みに配置される見事な美術工芸品として大変貴重な存在で昭和15年(1940)に国指定重要文化財(旧国宝)に指定されています。伊那下神社の御神木である親子いちょうは推定樹齢千年、樹高22m、目通り8m、枝張り25m、県内を代表するイチョウの古木大木として貴重な事から昭和27年(1952)に静岡県指定天然記念物に指定されています。
釣燈籠は慶長14年(1609)に大久保石見守長安が寄進したもので、青銅板製、金鍍金、六角形、重量4.875kg、高さ53cm、透かし彫りや毛彫など優れた技術が見られる貴重なものとして昭和32年(1957)に静岡県指定文化財に指定されています。
伊那下神社の社宝である「応神天皇、神功皇后、武内宿弥漆喰人形」は明治9年(1876)に入江長八が制作したもので長八の作の中でも極めて優秀な作品として貴重な事から昭和48年(1973)に松崎町指定文化財(彫刻)に指定されています。萩薄蝶鳥鏡は平安時代に制作された金工品で貴重な事から平成6年(1994)に松崎町指定文化財(工芸品)に指定されています。
伊那下神社拝殿は木造平屋建て、入母屋、銅瓦棒葺き、平入、桁行4間、張間3間、外壁は真壁造板張り木部朱塗り。本殿流造銅葺。祭神:彦火火出見尊、住吉三柱大神。
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