日枝神社(沼津市)概要: 日枝神社は静岡県沼津市平町に鎮座している神社です。日枝神社の創建は嘉保2年(1095)、日吉大社(滋賀県大津市坂本)の分霊を勧請したのが始まりと伝えられています。当時、源義綱と比叡山延暦寺、日吉大社が対立した際、多くの僧、神官が殺されました。僧侶達は関白藤原師通に訴えましたが取り合ってもらえず、神意からか師通が突然死しました。現在の境内は師通の荘園だった土地で、山王の祟りと感じた師通の母はそこに日吉大社の分霊を祀る事で祟りを鎮めようとし、社領の寄進をすると共に篤く保護したそうです。
以来、周辺22ヵ村の総鎮守として広く信仰され、歴代領主が寄進した槍や太刀、獅子頭、額、石灯籠などが社宝として所有、足利家や今川家、徳川歴代将軍から賜わった朱印状など多くの古文書を保管しています。古くから神仏習合し山王権現などと称していましたが明治時代初頭に発令された神仏分離令により仏式が廃され日枝神社に社号を改められると明治6年(1873)に郷社、大正15年(1926)に県社に列しています。祭神:大山咋神、大己貴命、大歳神。
日枝神社の社宝である「紙本着色山王霊験記(1巻)」は鎌倉時代の弘安11年(1288)に奉納され比叡山延暦寺の縁起を記しているもので大変貴重な事から昭和25年(1950)国指定重要文化財(旧国宝)に指定されています。京極為兼卿書状は鎌倉時代に筆されたもので、縦32cm、横50.4cm、貴重な事から昭和60年(1985)に沼津市指定文化財に指定されています。境内に建立されている芭蕉句碑には芭蕉が元禄4年(1691)に東海道の宿場町である沼津宿を訪れた際に詠まれた「都出でて 神も旅寝の 日数哉 はせを」の句が刻まれています。
日枝神社拝殿は木造平屋建て、切妻、銅板葺き、平入、桁行2間、張間2間、正面1間唐破風向拝付き、外壁は真壁造板張り、左右翼舎付(左右共、切妻、銅板葺き、平入、桁行2間、張間3間)。本殿は流造、銅板葺き。
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