旧植松家住宅(裾野市)概要: 旧植松家住宅は静岡県裾野市千福に位置している古民家です。植松家は石脇地区に鎌倉時代から土着し開発してきた家柄で江戸時代には代々名主を歴任してきた上層農家です。伝承によると元々は尾張国津島(現在の愛知県津島市)出身で源頼朝が当地で巻狩りを行った頃(建久4年:1196年)に土着したと伝えられています。
現在の建物は工法や手法などから江戸時代中期(18世紀以前)に建てられたと推定され、又、古文書で宝永4年(1707)に宝永山の大噴火があり、宝永5年(1708)に描かれた石脇村絵図と延享元年(1744)の絵図とは村の配置が異なる事などから、噴火により大きな被害を受け概ね正徳年間(1711〜1715年)に移築又は再建されたと考えられています。
旧植松家住宅は木造平屋建、寄棟、茅葺、桁行9間(16.1m)、梁間5間(8.8m)。平面は3間取り形式で半分は土間で占められ、土間に面する居住部分は「広間」と呼ばれる板間で殆ど仕切りが無く土間と一体で利用され、その奥に「座敷」、「納戸」があり天井は座敷だけが棹縁天井が張られ、他の部屋は土間同様に吹き放しになっています。
旧植松家住宅は静岡県東部の中では比較的古い時代の形式を継承するもので、保存状態も良く隣県の農家建築との関連を知る上で大変貴重な遺構として昭和48年(1973)に国指定重要文化財に指定されています。当初は裾野市石脇に建てられていましたが、現在地(中央公園)に移築保存し一般公開されています。
|