平田寺(牧之原市)概要: 吸江山平田寺は静岡県牧之原市大江に境内を構えている臨済宗妙心寺派の寺院です。平田寺の創建は弘安6年(1283)、上杉憲藤(上杉憲房の子、犬懸上杉家の始祖)が竜峰宏雲(仏光国師無学祖元の孫弟子、上杉掃部頭頼重の子)を招いて開山したのが始まりと伝えられています。伏見天皇、後醍醐天皇の勅願寺として寺領が寄進され、中世に入ると為政者である足利家や領主である今川家の庇護もあり寺運が隆盛しますが戦国時代の兵火により多くの堂宇、寺宝、記録などが焼失し一時衰退します。江戸時代に入ると清庵宗徹禅師が再興し、その際、臨済宗妙心寺の末寺となり、将軍徳川家は代々朱印状を与え庇護されました。天明6年(1786)には相良藩主田沼意次が菩提寺として庇護し本堂を再建しています。
現在の平田寺本堂はその当時のもので木造平屋建て、入母屋、銅瓦葺、平入、桁行11.5間(約21m)、梁間8.5間(約15.5m)、外壁は真壁造白漆喰仕上げ、左端には唐破風式台付の玄関(藩主田沼家専用)、江戸時代中期の臨済宗寺院本堂建築の遺構として貴重なことから昭和56年(1981)に牧之原市指定文化財に指定されています。
寺宝である聖武天皇勅書は天平感宝元年(749)に聖武天皇が東大寺、興福寺、薬師寺など12大寺に布や田地などを寄進し「天下太平万民和楽」を祈願したもので昭和27年(1952)に国宝に指定されています(どの様な経緯で平田寺に伝わったかは不明)。平田寺石造宝塔は鎌倉時代後期の延慶3年(1310)に沙弥如蓮が願主として制作されたもので、安山岩製、高さ197.5cm、貴重な事から静岡県指定文化財に指定されています。山号:吸江山。宗派:臨済宗妙心寺派。本尊:釈迦如来。
平田寺の文化財
・ 聖武天皇勅書−天平感宝元年−国宝
・ 平田寺宝塔−延慶3年−静岡県指定文化財
・ 平田寺文書(47点)−鎌倉〜江戸時代−静岡県指定文化財
・ 平田寺本堂−天明6年−牧之原市指定文化財
【 参考:文献等 】
・ 現地案内板-静岡県教育員会・牧之原市教育員会
・ 現地案内板-牧之原市教育員会
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