天徳寺(島田市)概要: 冨洞山天徳寺は静岡県島田市大草に境内を構えている曹洞宗の寺院です。天徳寺の創建は室町時代初期の明徳元年(1390)、大通融士(現在の大分県国東市国東町横手に境内を構えている泉福寺の僧)が開いたのが始まりとされます。駿河国、遠江国では最古の曹洞宗寺院とされ、曹洞宗の布教に大きく尽力したと思われます。
当初は深泉寺と称し、会下の段と呼ばれる山中にありましたが江戸時代初期の寛永年間(1624〜1644年)頃、当時の島田領の代官長谷川長勝により現在地に移され、朱印地7石が徳川将軍から安堵されました。長勝は中興の祖と呼ばれ、壮大な伽藍を造営するのと同時に治水工事にも尽力し境内を広めたとされ、境内には長谷川家歴代の墓碑が建立されています。
嘉永4年(1851)、山門を除く多くの堂宇、寺宝、記録などが火災により失われ、本尊は新蔵老人に運び出され難をまぬがれたとされます。明治22年(1889)に当時の住職である秋野孝道和尚により再興が図られ、諸堂の整備が行われました。本堂は木造平屋建て、入母屋、桟瓦葺き、平入、正面1間軒唐破風向拝付き、外壁は真壁造白漆喰仕上げ。山門は江戸時代初期に建てられたもので(長谷川長勝が現在地に境内を遷した際に造営された当時のものと推定されています)、切妻、桟瓦葺き、一間一戸、間口3.5m、奥行き3.5m、四脚門、当時の寺院山門建築の遺構として貴重な事から昭和31年(1956)に静岡県指定文化財に指定されています。山号:冨洞山。宗派:曹洞宗。本尊:釈迦如来。
【 参考:文献等 】
・ 現地案内板(由緒)-冨洞山天徳寺
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