慶寿寺(島田市)概要: 祥雲山慶寿寺は静岡県島田市大草に境内を構えている真言宗泉涌寺派の寺院です。今川範氏は今川家2代目当主で足利尊氏に従った事で功を挙げ駿河国、遠江国の守護職などの要職を歴任しました。範氏は観応3年(1352)に今川館に居城を移し、菩提寺である慶寿寺を創建しています。貞享4年(1365)享年50歳で死去すると慶寿寺の境内に葬られ「慶寿寺殿雲峯信慶大禅定門」の宝篋印塔が建立されています。
慶寿寺は今川家の菩提寺として庇護され遍照光寺頼忠判物(永正3年:1506)、遍照光寺頼忠判物(永正3年:1506)、頼覚判物(永正15年:1518)、頼覚判物(永正17年:1520年)、珠頂判物(大永6年:1526年)、承芳(今川義元)禁制(天文5年:1536年)、承芳(今川義元)安堵状(天文6年:1537年)、治部大輔(今川義元)寄進状、氏真判物(永禄9年:1566年)などを賜っています。慶寿寺文書(9通)は昭和59年(1984)に島田市指定文化財に指定されています。
慶寿寺の寺宝である絹本著色釈迦十六善神像は鎌倉時代後期に宅間了尊によって製作されたもので中央の釈迦如来、その下に脇侍である文殊菩薩と普賢菩薩、さらにその下に十六善神、右隅下に三蔵法師が描かれている大変貴重なものとして昭和25年(1950)に国指定重要文化財に指定されています。
境内背後にある「シダレザクラ」は興国6年(1345)、範氏が慶寿寺を創建した際、父である今川範国の追善供養の為に手植えした伝えられるもので、現在は2代目ですが別名「孝養桜」を継承し、推定樹齢350年、樹高約14m、幹周約3.5m、枝張り約18m、昭和31年(1956)に静岡県指定天然記念物に指定されています。又、境内には赤穂浪人の大野九郎兵衛の墓と伝わる五輪塔が建立されています。
慶寿寺本堂は木造平屋建て、入母屋、桟瓦葺き、平入、桁行5間、外壁は真壁造白漆喰仕上げ。観音堂は木造平屋建て、宝形造、桟瓦葺き、桁行3間、張間3間、正面1間唐破風向拝付き、外壁は真壁造板張り。駿河三十三観音霊場第18番札所(札所本尊:聖観世音菩薩)。駿河伊豆両国霊場第32番札所(札所本尊:聖観世音菩薩)。山号:祥雲山。宗派:真言宗泉涌寺派。本尊:大日如来。
|