龍尾神社(掛川市)概要: 龍尾神社は静岡県掛川市下西郷に鎮座している神社です。龍尾神社の創建は不詳ですが延長5年(927)に編纂された延喜式神名帳に記載された式内社真草神社とも云われ、社宝として「真草」と記された社額を所有しています。鎌倉時代に詠まれた和歌にも龍尾神社と思われる節があり当時から知られた存在だったと思われます。
当初は龍腹山に鎮座していましたが、文明年間(1469〜1487年)、当時の遠江国守護職今川義忠の家臣朝比奈泰煕が掛川城の築城の際、城からみて北東の方角である龍尾山に遷座し、掛川城の鬼門鎮守としました。永禄11年から12年(1568〜1569年)の徳川家康による掛川城攻防戦では龍尾神社の境内が家康の本陣となり戦略上重要視されました。
歴代掛川城の城主から崇敬庇護され、特に豊臣時代に城主となった山之内一豊が篤く崇敬し、土佐に移封になった後の寛永年間(1624〜1645年)、跡を継いだ山之内忠義は家臣である占部兼里を遣わし龍尾神社の分霊を勧請し、山之内家の氏神と高知城(高知県高知市)の鬼門鎮守社(掛川神社)し、「蘇鉄」と「土佐の石」を奉納しています。古くから神仏習合し「龍尾山牛頭天王」と称されていましたが明治時代初頭に発令された神仏分離令により仏式が廃され龍尾神社に改称、村社に列しています。
現在の龍尾神社本殿は江戸時代中期の正徳3年(1713)、掛川藩主小笠原長煕により造営されたもので3間社(桁行3間、梁間2間)、入母屋造、銅板葺、3間向拝付、外壁は真壁造板張り。拝殿は木造平屋建て、入母屋、銅板葺き、平入、桁行6間、張間3間、正面1間向拝付き、外壁は真壁造白漆喰仕上げ。御神木であるモミの木は推定樹齢300年、樹高23m、根回り3.80m、平成6年(1994)に掛川市指定保存樹に指定されています。祭神は素盞鳴尊、櫛稲田姫尊、毒蛇気神尊。
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