天然寺(掛川市)概要: 泉堂山天然寺は静岡県掛川市仁藤町に境内を構えている浄土宗知恩院派の寺院です。 天然寺の創建は室町時代の明応3年(1494)専蓮社秀誉上人によって開かれたのが始まりとされます。江戸時代に入ると掛川藩主松平定勝の帰依を受け、慶長7年(1602)に生母である於大の方(伝通院・徳川家康の生母でもある)が死去すると位牌が安置され、桑名藩に移封後の寛永元年(1624)に定勝が死去すると天然寺6世宗蓮社伝誉上人三甫大和尚が開山となり菩提寺となる東海山照源寺(三重県桑名市東方)が創建されています。
天然寺はその後も歴代掛川藩主から庇護を受け、藩主松平忠晴の長子だった忠俊(戒名:霜岑院殿前刑部泰雄大居士)が正保2年(1645)に早世すると菩提が葬られ墓碑が建立されています。
寛政10年(1798)、オランダ使節であったゲイスベルト・ヘンミイ(戒名:通達法善居士)が11代将軍・徳川家斉と会見し、長崎に帰る途中、掛川宿の林喜太右衛門宅に泊まった際急死し、天然寺に葬られました。境内には蒲鉾形の洋風墓碑が建立され、オランダ使節が江戸と長崎を往復する際には墓参を欠かさなかったと伝えられています。ゲイスベルト・ヘンミィ墓は貴重な事から平成18年(2006)に掛川市指定文化財(建造物)に指定されています。
天然寺の境内は東海道沿い、掛川城の登城口の一つ、天然の堀に見立た逆川の手前にある事から、掛川城の防衛施設の役割を持ち、朝鮮使節が宿所として利用するなど重要視されました。山号:泉堂山。宗派:浄土宗知恩院派。本尊:阿弥陀如来。
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