貞永寺(掛川市)概要: 金剛山貞永寺は静岡県掛川市大坂に境内を構えている臨済宗妙心寺派の寺院です。貞永寺の創建は貞永元年(1232)、四条天皇の勅願により開かれたのが始まりと伝えられています。
当初は真言宗の寺院でしたが室町時代初頭に足利尊氏が後醍醐天皇の菩提を弔う為、全国に安国寺を建立した際、当寺があてられ臨済宗に改宗しました。遠州安国寺とし寺運が隆盛し、当地域の臨済宗の拠点となり多くの末寺を擁し境内には七堂伽藍が建ち並びました。
天正年間(1573〜1592年)、高天神城を巡る攻防戦の兵火により多くの堂宇、寺宝、記録などが焼失しましたが、天正11年(1583)、徳川家康の命で横須賀城主大須賀康高が堂宇を再建しています。
江戸時代に入ると幕府から庇護され寺領21石が安堵され10万石の格式を得て、能満寺(静岡県榛原郡吉田町片岡)、龍潭寺(静岡県浜松市北区引佐町井伊谷)と共に遠州臨済三名寺に数えられました。
江戸時代中期の名僧として知られる白隠禅師が寛延3年(1750)に約2か月間滞在しており、多くの作品を残しています。特に紙本墨画楊柳観音像(1幅)、紙本墨画臨済・百丈禅師像(2幅)、紙本墨画達磨像(1幅)は貴重な事から昭和49年(1974)に静岡県指定文化財に指定されています。
貞永寺本堂は江戸時代前期に造営されたもので、木造平屋建て、入母屋、桟瓦葺き、平入、外壁は真壁造板張り、当時の大型の方丈建築の遺構として貴重な事から平成17年(2005)に掛川市指定文化財(建造物)に指定されています。山号:金剛山。宗派:臨済宗妙心寺派。本尊:釈迦如来。
【 参考:文献等 】
・ 碑文(石碑)-金剛山貞永寺
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